「フォーディズムの現代における影響とは?」

アメリカ経営史を語る上で欠かせないのは、フォードのT型車におけるヘンリー・フォードに由来するフォーディズムと呼ばれた大量生産・大量消費型の高度成長体制であろう。業種・業態は、相異なるが現代の様々な体制や仕組みにもフォーディズムの様を呈しているようなものが偏在する。
当時、アメリカは、イギリスの産業革命に半世紀ほどの遅れをとっていた。既に、18世紀末からのイーライ・ホィットニーによって大量生産を技術的に発展させ、19世紀末から20世紀初頭にかけて、アメリカは巨大企業が出現してきた。急速なアメリカの進展は、「アメリカ的工業制度」という大量生産方式で位置づけられた。大量生産の一方で、作業能率や効率、工程などが常に頭を悩ませていた。熟練労働者を有効に使っていく労働力そのものの体制が賃金コストに対する問題点として浮上したのである。
このような状況を一変させたのがフォードのT型車普及によるヘンリー・フォードによるフォーディズムと呼ばれたものに他ならない。フォードのT型車は、今までの車と違い、顧客のニーズを反映させて、高級車志向から低コスト、実用的、一般大衆志向といった車を目指していた。それ故に、部品の規格化、作業の単純化というものを顕著に打ち出したのである。作業習得は、容易であり、7割以上が1週間以内に習得できるため、熟練労働者は不要となり、機械に作業労働が支配されるようになっていった。一方で、労働者に対しても、高賃金でという形で反映していき、雇用幅は、広く開かれていき、世界で多大な影響を及ぼし、戦後、高度成長の核となった。経済的な観点からすると大量生産をして高賃金に反映し、大量消費という流れになり、それが総需要の増大を形成したことにより経済成長というものを生み出した。また、高賃金で反映している故にフォーディズムの条件とは、テーラー主義の受け入れにあり、その代価として団体交渉制、最低賃金制、社会保証というものが確立された。しかし、不況などにより競争条件が厳しくなり、テーラー主義の限界など経営者側と労働者側の労使関係は次第に折り合わない状態に陥った。
ところで今日にもフォーディズムの影響は、随所に見られる。例えば、職務拡大やチームアセンブリー方式、経営参加方式などまさしくフォーディズムの影響の下につくられたものである。また、派遣労働の仕組やシステムさえも少なからずフォーディズムの影響を受けていると私は考える。それは、景気によって雇用条件や競争条件が変化する点やある一定業務を大量雇用として採用する場合も見られ、ある程度、高賃金という形で労働者に反映している点などは共通している部分と考えられる。
その意味で、現代のシステムも過去の主義や体制等の影響を受け、取り入れたり、改善したりして、今日の経営モデルや労使関係は成り立っているのだと強く思った。また、余談ではあるがフォードの経営は、銀行や金融などの資本を導入せず、消費者に商品を安く提供するという奉仕する経営を営んでいたことから「日本型経営」にも似ていると言えるのではないだろうか

L'âge d'or /円谷尚智