「今や日本球界屈指の強打者・小笠原道弘選手の野球人生」

 日本野球界の現役選手の中で最も私が尊敬している選手は、現・読売巨人軍のミスターフルスイングのガッツこと小笠原道大選手である。かつて、巨人には清原をはじめ、広沢、江藤など名だたる有名選手が名乗りを挙げて移籍してきたがどの選手も期待通りの結果を残せずに終わった。これは、やはり巨人というブランドを背負っているプレッシャーも勿論あるだろう。一方で、対戦する相手球団も巨人戦にはエース級の投手をあててくるので他球団でプレーしている時より厳しくなるのは必然である。そんな中、小笠原選手だけは巨人のプレッシャーにも負けず期待通りの結果を残していると同時に今や押しも押されぬ球界屈指の強打者としてその名を世に轟かせている。
この好成績は、単に根性があるだけでなく、確固として積み重ね磨き上げてきたバッティング技術があるからこそ成し得たことに相違ないだろう。また、けっして大きくない体ではあるがそのようなハンデを物ともせず、常にフルスイングであれだけのホームランを量産することは容易なことではなく、まさに彼自身の不断の努力によるものである。全力で振り抜いてホームランを打つ姿は多くの人にきっと感動を与えているのではないだろうか。
思えば、小笠原選手は、高校時代の通算本塁打は0本に終わり、社会人を経て日ハムのドラフトの3位指名でプロ野球の世界に足を踏み入れた。
その後も捕手として登録され、打率などは好成績を残すがキャッチャーフライを取ろうとした際に左手人差し指を骨折するなど華々しいプロ野球選手というものには程遠く、困難・苦労の連続の野球人生である。
しかし、2000年を機に打撃が開花し、それから4年連続の330本塁打等の成績を残し確固としてその地位を築いていった。FA権を取得して巨人に移籍してもそのバッティングは健在で、留まるどころか益々、磨きがかかっているようにさえ思われる。通算300本塁打も達成し、巨人で活躍することにより小笠原選手は、真に実力のある選手だということが世間で認められた。
小笠原選手の野球人生が訴えかけていることは、誰よりも直向きにストイックな姿勢で貪欲なまでの練習をこなして、人一倍多くの努力と精進をすることで成功できることを物語っている。また、それは一選手として秀でた選手になることでもあり、同時にどこに行っても通用する本当の実力というものを会得することでもある。
私は、新卒時代にとある就職コンサルタントの人から当時、日ハムにいた小笠原選手を例え話に「●●さん、日ハムの小笠原選手と巨人の仁志選手だったらどちらになることに意義があると思いますか」と問いかけられた。私は迷わず「小笠原選手です。」と答えたが案の定、正解であった。小笠原選手は打者として実力はあるがブランド球団ではない。一方で、仁志選手は、ブランド球団にいるが実力は劣る。
つまり、社会もあるいは勉強もそうだが意を決して入ったところで努力・精進をすることでどこでも通用する実力というものを身につけることが大切だということである。現に巨人という球団でも小笠原選手が結果を残せていると同じように真の実力を持てばどこの企業にいっても通用する人材となり、また実績を残せるということを先のコンサルタントは言いたかったのだろう。
小笠原選手の下から這い上がってきた姿にはいつも勇気づけられ、多くの感動をもらうと共に努力の跡は決して裏切らないものだとつくづく思い知らされる。彼の野球人生を思えば、そこには辛く苦しい涙もあったであろう。しかし、どんなに辛く険しい棘の道であっても一途な情熱と人一倍多くの努力、何より自分の信念を持ちながら邁進していくことの大切さを教えられた。そして、才能や能力というものは全て己の努力によって磨き上げ作り上げていくものだということを強く感じた。私達もまた小笠原選手の全力プレーを模範としながら日々、努力と精進を続けていくべきだと心より思った次第である。

L'âge d'or /円谷尚智