「日本の経済状況について」

世間では、経済不況の煽りを受け、新卒学生の内定取消や派遣労働者の大量解雇など雇用の問題が争点となっている。所謂、就職氷河期の再来とも言われている。当時、大学生で就職氷河期の真っ只中にいた私からの意見を言わせてもらえば、ある種の被害者である。
 今日は、各企業の存続さえ危ぶまれている時代である。国の政治や改革など全く機能せず、海外からの影響などを含め、各企業に波及が及ぶまでになってしまった。何故、このように国自体の根底に及ぶまでになったのだろうか。歴史的にみれば、東西冷戦が終わり共産主義が淘汰された。もちろん、マルクス・レーニン主義の失敗を改めた意味での共産主義は出没したが、やはり自由競争の資本主義(民主主義)が台頭し、現代は、まさに膨張して統制のとれない状況下になっている。高度経済成長を遂げ、バブルが弾け経済不況に突入し、記憶に新しい小泉改革の「痛みを伴う改革」と言われている規制緩和による改革がついには格差社会を生み出した。国の経済が不況なら企業もその余波を受け、利益が上がらなければ、当然、人件費削減ということになる。採用も狭き門となり、正雇用などが少なくなるのは必然。それを少し前のテレビ放送では、非正雇用率を「今の若者は、あんまり将来の夢や意志がない」とか「正雇用で働くことを懸念している」というように、若者が自ら正雇用として働くことを望んでいないようなところに転嫁している。自分たちが無策・無能政治によって経済を悪化させ、挙句、責任を現代の若者の在り方に転嫁させている点は、非常に許し難い。
 一方で、派遣の人々は、突如、契約を解雇されて、年を越せないなどその日の暮らしにも影響し、まるで消耗品のごとく扱われている。派遣労働の仕組も国は是正しなければならない。また、新卒という金の卵でさえ内定取消で若者達の前途洋々の夢をも奪った。
 今や手のつけられない域にまで経済不況は進行している。故筑紫哲也さんは、生前、最後の「多事総論」で「この国は癌に侵されている」と述べていた。まさにこの国の政治が機能していないことを端的に指している。
 現在まで日本の政治は、自民党に委ねられてきたが、ここ近年、安陪、福田、麻生と首相が相次いで交代しているが、全く改善の兆しさえ見えない。腐敗政治は、依然、横行している。この国は、資金投資が、変な方向に向けられ、いわば迷走している。筑紫哲也さんが述べていたように「過去に投資するのか、未来に投資するのか」というものが定まっていないのである。過去とは、医療や福祉など高齢者対策であり、未来とは、教育に関するものである。今日、この国は、存続か滅亡かの危機にさらされている。もはや自民や民主のどちらが政権を執るとかの次元の話ではない。このまま衰退していくのかあるいは新しい改革・体制づくりを打ち出してこの国の癌と戦うのかという選択を我々は余儀なくされている。私は、未来の投資を厚くするべきであると思う。つまり、草の根を強化し、これから未知の可能性のある若者にこの国を担ってもらうために長いスパンで投資していき、確固とした礎を築く必要がある。そうすることで、高齢者問題や雇用、ひいては企業体に至るまで経済が活性化され、やがて安定してくるのではないだろうか。高齢者は、早めに身を引き、実り豊かな老後生活を、若者には、教育と大きな門を開いた雇用を充実させ、一人一人がこの国の原動力となり得る居場所を確立できることこそ本来の日本の在り方である。問題は、このような政治の未来予想図を描き、遂行できる適任者がいないことである。どのようにこの先々なっていくのか、日々、不安が募る今日、この頃である。

 

L'âge d'or /円谷尚智