「3年B組 金八先生」

 私は、「3B組 金八先生」シリーズが好きである。今回の第八シリーズは、数話しか観れなかった。先日、久々に観たところ、今作はなかなか良作に仕上がっているようだ。「ドラック」、「性同一性障害」など様々な社会問題を交えながら、子供たちの複雑化する出来事に対峙するのがここ近年の「金八先生」シリーズであった。思えば、金八先生が今も昔も私の心に響くのは、生徒と常に真剣に向いあっている姿があるからだ。とりわけ、私は、初期作の金八先生が好きである。生徒に若い坂本金八が全力で教え諭す。「熱意がなくなり、仮に熱意があってもそれが生徒の心に届かなくなったら教師として終わり」と言っている。
 しかし、近年の作品は、金八が努力しても不完全燃焼である「老いた金八」という印象である。今作は、本来のスタンスに戻ってきたと言えよう。テーマは「裏サイト」問題である。深い情熱と生徒への愛、教養や言葉を大事にし、生徒の抱える問題を理解しながら、対等に向い合っている。また、生徒のみならず、親に対しても熱く訴えかける姿。そして、金八先生のこの生徒への一途な想いが届き、3B組の仲間の輪が生まれ、金八先生への感謝の念が芽生える。先生と生徒の「心」と「心」が繋がる。これこそ、教育の在り方であると感じた。言いたいことは、どんな生徒も真っ向から向きあえば、心を開き得るということだ。では、何故、世の中の生徒は心を閉ざすのか、あるいは心を傷めるか。それは、教師がいつの間にか、生徒を平等に見ることを忘れているからだ。例えば、私の学生生活も、絶対的得意教科の成績の良い教科の先生は温かく見てくれたり、つまらない失敗や不得意教科などのテストの点数が揮わない教科の先生は冷たいものだ。私は両方の態度を知っているため、成績の良い教科における先生からの待遇の良さがあっても素直に喜べなかった。その裏には、冷たくされたり、悲しんで、心を傷めている人がいる。そういうものが甚だならなかった。「教師なのに何故、平等に見れないのか」と何度も心の中で思っていたものだ。扱いの差に敏感な生徒は何を信じたらいいか、温かい心にふれることもなく心を閉ざしてしまうのだ。金八先生は、そういった損得勘定など一切抜きで、人として向き合い、生徒への愛があるから生徒が心を開くのである。私は「金八先生」には、人としての道理、人を想い続けること、命の大切さ、努力すること、愛すること、友達の大切さ、人への思いやり、人を許すこと、人に謝ること、素直に生きること、物事に逃げずに真っ向からぶちあたっていくことを教えられた。こんなに、人を思えることは教師としてだけではなく、一人間「坂本金八」はなんて温かいと思う。
時として生徒に厳しく叱咤激励し、心の底から生徒の将来・人生を考える金八先生のような「先生」というものが現代には少ないのが本当に残念である。

L'âge d'or /円谷尚智